俳句誌掲載の会員作品(「蛮」誌掲載分)

「俳壇」2024年5月号掲載 作品5句

「水鏡」 北浦美菜

大道芸の促す拍手水温む
雨傘のちやんばらごつこ春の土手
残雪の稜線あらは水鏡
百段を上がる足元春の山
春の池互ひ違ひの亀の首

(「蛮」71号に佐藤久による作品鑑賞を掲載しています。)

「俳壇」2024年3月号掲載 作品6句

「家路」 尾澤慧璃

見晴るかすベイブリッジや三月来
石蹴りの丸の連なり鳥帰る
朧夜のだらだら坂の家路かな
春の土手学生鞄枕にす
銀輪の弾んでをりぬ春の土
父となりし息子の背中初桜

(「蛮」71号に久保遡反さんによる作品鑑賞を掲載しています。)

「俳壇」2023年9月号掲載 作品6句

「神恋の旅」 長濱藤樹

風青し高天原の遥拝所
初夏の石に石積む岩戸かな
霧島の神のきざはし走り梅雨
アマテラス生まれし池や蓮の花
青梅や参道長き御子の宮
立磐の太き注連縄夏の空

(「蛮」69号に清水彩乃さんによる作品鑑賞を掲載しています。)

「俳句四季」2022年9月号掲載 作品5句

「瓊花」 藤田裕哉

三輪山の緑とりどり夏来る
廬舎那仏の指の太さや風薫る
瓊花咲くや鑑真和上の御身代はり
春日社の緑陰に巫女舞ひにけり
女人高野の長き石段杉落葉

(「蛮」64号に安本 純さんによる作品鑑賞を掲載しています。)

「俳壇」2022年5月号掲載 作品7句

「みなとみらい」 佐藤 久

沖へ向くハンマーヘッド鳥雲に

行く春や砂場から出る五円玉
初夏や花に埋もれし大碇
金網の綻びてをり姫女苑

夏潮やアメリカ坂の乳母車
ソーダ水未来すべてがだつた頃
ユッカ咲くみなとみらいの遺構群

(「蛮」62号に神野喜美女さんによる作品鑑賞を掲載しています。)

「俳句四季」2020年7月号掲載  
  第20回「俳句四季」全国俳句大会 

 ◆優秀賞

 亡き人を在るやうに言ふ桜時 (尾澤慧璃)
 ◆優秀賞 

 橋を吊る鋼線の束冬来る (佐藤 久)


「俳壇」2020年7月号掲載 作品7句

「文庫結び」 尾澤慧璃

初めての文庫結びや鬼灯市
水底の影ごと掬ふ金魚かな
余所行きの着物の娘ソーダ水
鼻緒擦れの平気装ふ暑さかな
空き缶に乗せる片足百日紅
眼裏に青嶺の余韻旅枕
朝凪や産声響く助産院

(「蛮」55号に佐藤久による作品鑑賞を掲載しています)

「俳句四季」2019年12月号掲載  作品8句

「元町通り」 佐藤 久

洋館の玻璃ひしひしと冬に入る
定位置に皇帝ダリア冬の虹
白樺の白きを残し散りにけり
水鳥の散らばつてゐる山日陰
桟橋の木目を辿る冬の虹
パン提げて帰る元町聖誕祭
道具屋のランプを吊るす年の市
数へ日や日溜りに猿ゐるばかり

(「蛮」54号に尾澤慧璃さんによる作品鑑賞を掲載しています)